2009年8月27日木曜日

付加価値競争はクラウドへ

クラウドコンピューティングという言葉が最近のIT業界のキーワードになってるみたいだね。もともとgoogleのCEOエリックシュミット氏が言い出した言葉で、クラウド(雲)のように目に見えないwebの向こう側にあるサーバーにソフトウェアとデータを置いて、エンドユーザーがあらゆる端末からネットワークを通じてサービスを利用できるようにする構想のことを指しているみたい。


過去から現在
実はこの概念自体はそれほど新しいものじゃないんだよね。
映画「不都合な真実」でおなじみアメリカ元副大統領のアルゴア氏が1992年に大統領選を戦っていたときに提唱していた「情報スーパーハイウェイ構想」という情報の高速道路を作るプランがあって、実現すればその先には当然クライアントがあらゆる情報処理をネットワークの向こう側にあるサーバーに行わせるようになると考えられていたんだけど、光ファイバーが普及するまでには時間がかかっていたからなかなか実現できなかったというのが実際のところなんじゃないかな。

やっと今のように高速ネットワーク網が広がって実現できる環境がそろったから世界中でクラウドコンピューティングに舵を切っているというのが現状でしょう。不況の影響もあって、より経済合理性のあるシステムに変更しているというのも一因なのかな。

クラウド時代に必要とされる技術
ソフトウェアの世界にはMVCモデルという考え方がある。
M(Model:モデル)=データベースとのやり取りやデータの編集などを主に担当する
V(Veiw:ビュー)=ブラウザに表示するhtml、css、javascriptなどの編集とデータの表示を主に担当する
C(Controller:コントローラー)=Vで入力されたデータをMに渡す。またはMから受け取ったデータをVに渡す処理を主に担当する。

現在、ajax(エイジャックスorアジャックス)という技術が普及してveiwの部分がjavascriptで記述されるようになってきている。ajaxというのは非同期通信でブラウザがサーバーに問い合わせできる技術のことで、googleのサービスではほとんど使われているんじゃないかな。

市場のパイの大きさ次第で変動はあるけど、高い報酬を見込める技術はwebの標準技術とオープンソースを中核にしたものなんじゃないかと思う。
理由は4つ。
  1. サーバーが増える度にライセンスフィーに頭を悩ませる必要がない。(とくに「窓達」に対する上納金)
  2. ソースコードを自由に改良できる。(ライセンスの内容によるけど)
  3. 世界中の有志達が日々改良を続けている。
  4. 特定の企業に依存しない。
PCとモバイルに対応したwebアプリを作るときには標準に準拠したソースコードを書いて共通で使えることが重要になってくるよね。これまで、3キャリアが各々独自の仕様を貫いてきた日本独自のガラパゴス携帯もiphoneやandroidケータイみたいにどんどんPC用に近いブラウザを取り入れていくようになるだろうし。むしろそうしないと良いアプリ開発者が寄り付かなくなっていくからね。

【プログラミング】
クライアント側はxhtml、css、javascript、今後のメインストリームになると思われるHTML5(web上で容易にグラフ作成などが出来る。現在仕様を策定中)、サーバーサイドはruby、Python、php、scala、javaあたりが多く使われていくんじゃないかな。まぁ言語に関しては今みたいに良いとこ取りでそれぞれ使われていくんだろうけど。

【インフラ】
サーバーインフラに関しては小さなイノベーションが積み重なったおかげで自前とアウトソースとではコスト的に差がなくなってきている。壮大な戦略がない限りサーバーはアウトソースでいいんじゃないかなー。
googleみたいに自前でサーバーのアーキテクチャを考えてメーカに独自の部品を作らせるような企業にとってはまだまだ改良の余地があるのかもしれないけど。

日本はITゼネコンから脱却したほうがいい
建設業では元請⇒2次請⇒3次請⇒4次請みたいに元請に近いほうは仕事を受注して実際の仕事は小さな会社にどんどん丸投げして下の会社にやらせる構図がある。一般的には下に行くほど報酬は低くなる。これを揶揄してITゼネコンと呼ばれているのが今の日本のIT業界なんだけど、問題なのは餅屋から絵師になったわけじゃなくて最初から絵師になっている人が元請には多いということ。

ようするにソースコードはまるっきり読めないけど設計書だけは読めて書けるみたいな感じ。
もはや設計ってプログラマの仕事じゃない?
ってゆーか設計だけしかできないって、マニフェストだけ書いて実行しない自民党?
ってゆーか実際に動くものの中身を理解できない人が高給取りって不合理じゃない?
それって日本全体を沈没させる原因じゃない?
確かにソースコードを書く(餅をつく)よりも設計する(絵を描く)ほうがIT業界に限らず報酬が高くなる事実はあるんだけど、餅をつくことで見えてくるイノベーションも事実としてある。絵を描いているだけでは決して見えてこない発想が技術革新を促進していくんじゃないのかな。絵を描くのも重要ではあるんだけどね。

絵師が量産されるような構造が今の日本にはあって、アウトソース先の新興国の餅屋が絵師になったら敵わなくなるんじゃないかと危惧してる。今は産業構造の転換期と考えて仕組みを見直す時期にきてるんじゃないのかなぁ。

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