2010年5月3日月曜日

国内インターネット企業の業績をもとにネットビジネスを分析してみる

ブログでネットビジネスの今後の見通しを書いてくれと友人に頼まれたので(俺、一応エンジニアなんだけど?)、自分の中での整理も踏まえて調査データと今後の見通しを書いてみました。
あくまでもネット上に散在するデータを集めたものなので外部から俯瞰した概論であることをお忘れなく。
ネットビジネスの収益源
インターネットビジネスの収益源は大きく分けて4種類ある。
・物販
・課金
・フィー
・広告
この4種類が組み合わされている場合も多々あるので、明確な境界線はない。
次に、その収益を源泉として競争力を高めている上場企業の業績をみてみる。
データはMSNマネーから出典です。







各社の主な収益源は下記のとおり。
▼ヤフー
検索&ポータルを集客力のコアとしたリスティング、バナー広告
▼楽天
ECポータルを集客力のコアとした出店手数料&販売手数料
▼CA
アメブロなどを集客力のコアとした広告掲載&コンテンツ課金
▼GMO
webインフラ(ドメイン取得やレンタルサーバーなど)&メディア広告掲載
▼DeNA
モバゲーなどのコンテンツを集客力のコアとしたアバター&アイテム課金
▼グリー
SNS&ゲームコンテンツを集客力のコアとした広告掲載&アバター&アイテム課金
▼ミクシィ
SNS&ゲームコンテンツを集客力のコアとした広告掲載&アバター&アイテム課金
▼ガンホー
ゲームコンテンツを集客のコアとしたアイテム課金
▼カカクコム
価格比較コンテンツを集客のコアとした広告掲載&仲介課金
▼ファンコミュニケーションズ
成果報酬型広告などのアフィリエイト広告掲載手数料&仲介課金
▼バリューコマース
成果報酬型広告などのアフィリエイト広告掲載手数料&仲介課金

DeNA・ミクシィ・グリー・ガンホーはコンシューマーの可処分時間のパイを奪い合っているという印象が強い。人々が各々所有している希少な時間を金に変えるといったビジネスではマーケットのパイはあまり広がらないと思う。
ファンコミュニケーションズ、バリューコマースなどのアフィリエイトサービスプロバイダも、市場自体は成長するものの、競争が激しくなっていて収益がなかなか上げられないというのが実情のようだ。未上場のASPであるリンクシェアとトラフィックゲートが合併するというのもシェア拡大を狙ってのことだろう。
カカクコムと楽天は、ネットビジネスではサプライサイドからディマンドサイドに価格決定権が移るということをいち早く察知して上手く立ち回った成功例だ。だからといって同じサービスをこれから提供しようとするのは敗者のゲームをプレーすることと同義である。
最後に、国内では検索シェアトップのヤフーは言わずもがなのパワーを持っている。SEOやSEMなどの商売も検索エンジンマーケットの周辺産業で、自動車産業で言えばガソリンスタンドやイエローハットなどの小売店みたいなものになる。イニシアティブを握っているのはヤフーやGoogleなので、アルゴリズムが変わる度に一喜一憂することになるのだが、それを知っている業者は自分でSEO対策などをするよりもそのノウハウを売ったほうが金になることに気づいて利益率のいい商売をしている。

リアルビジネスとネットビジネスの大きな違い
リアルビジネスのメタファーをそのままネットビジネスに持ち込んでも上手くいかない理由は、ビジネスを構成する要素が異なる性質をもっているからだ。その相違点は次の2つに集約される。


●サプライサイドに価格決定権がほとんどない
楽天、アマゾン、カカクコムを見ればわかるが、事業者同士で熾烈な価格競争を演じているのが今のインターネットビジネスの実態である。コモディティ化した製品を売って商売しようとすれば、事業者自身もコモディティ化するという、商売人には好ましくない状態になる。

●限界費用がほぼゼロである
限界費用というのは1単位増やした場合の費用という意味で、コンビ二なら弁当の在庫を1つ増やした場合、エンジニア派遣なら1人月増やした場合という考え方になる。
リアルビジネスでは、事業を立ち上げるにしても事業を継続するにしてもコストが高くつく。
ネットビジネスで必要なのは顧客になんらかの効用を与えるソフトウェアを作るための人件費、それとサーバーインフラのみで、商品となるコンテンツや機能などは追加やコピーをしても在庫管理費は数銭以下になる。

私は物販事業を時代遅れの商売だと思っている。というのも、EC市場のパイは今後も拡大していくだろうが、物販の場合価格競争が激しすぎてまるっきりうまみがないからだ。物販で利益をたたきだせるのはAppleなどのような自社製品を販売するwebサイトぐらいだろう。

ゲームを有利に運ぶには
広告はどこに出稿すれば効果的か?
ASPか?検索エンジンか?特定の分野に特化したメディアか?
これは広告主なら誰でも一度は立てる問いだが、規模の経済に基づいて意思決定するならば、最も多くの顧客を効率的に獲得することが可能なリスティング広告かシェアトップのASPということになる。
もちろん広告を出稿するよりも出稿させるほうがはるかにパワーを持つことを意味するのは、上記の企業業績をみればあきらかであるが。

インターネットを商いの主戦場にしたら競合が無数に現れて、価格決定権がディマンドサイドに移ってしまった。うかうかしていると製品やサービスを生産する際の限界費用は日々ゼロに近づいて、他社に追い抜かれる。
この状況でゲームを有利に運ぶにはどのような戦略が最適だろうか?
どのようなゲームならパワーシフトを起こせるだろうか?
あとは自分の頭で考えてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿