2010年4月11日日曜日

次世代SEの条件

この先10年、システムエンジニアが生き残るためには間違いなく次の条件を満たしている必要があると思う。

・OSSをフル活用したソフトウェアアーキテクチャを構築できる。
・サービスと新機能を考えて自ら実装できる。
・技術を適用したビジネスモデルを考えられる。



システムの役割の変化

これまで多くのシステムエンジニアは顧客の要望を聞き、それを形にするという受動的なアプローチをとるビジネスを行ってきた。
システムがビジネスマンの仕事を手助けする程度の脇役だった時代はそれでよかったかもしれない。
しかし、ビジネスを取り巻く環境は5年前から一変した。
ブラウザの速度は起動してから表示されるまで速度が全く苦にならない程向上し、サーバーの性能は4倍以上になり、人々はオンラインゲームで仲間とコミュニケーションをとりながらプレイし、検索エンジンで気になったワードや旬のキーワードに関するサイトを探し、ツイッターでつぶやきに対するフィードバックがリアルタイムに返ってくるのを楽しみ、ECサイトで買い物をして全国から商品を取り寄せ、音楽をインターネット越しにダウンロードし、銀行決済やクレジットカード決済なども自宅で行い、株式や為替などのオンライントレードも自宅で行うようになった。
そしてクラウドコンピューティングという大転換が、不況を機にメインストリームになりつつある。
システムはビジネスの脇役ではなく、ビジネスそのものになった。

古いやり方の弊害

そんなさなかに特許庁の開発が3年も遅れているという事実が判明した。

「特許庁業務・システム最適化計画」(改訂版)について
http://www.jpo.go.jp/torikumi/system/system_optimize_re.htm

“野心的な”システム構想が頓挫133億円投じるも稼働のメド立たず
http://bizboard.nikkeibp.co.jp/kijiken/summary/20090826/NC0737H_1502825a.html


この開発ではCOCOMO(constructive cost model)法を用いて開発工数や期間の見積もりを行っていた。この失敗から学べることは、ウォーターフォールモデルの開発ではビジネスリスクが高く、今の環境では到底採用できない手法ということ。
ウォーターフォールモデルでのソフトウェア開発は、戦艦大和の製造と同じだ。大規模な投資と人的リソースを投入したまではいいけど稼働するときには環境が変わって無用の長物になる。
ソフトウェアの場合、半年~数年後にリリースしてから使われない機能だということが判明し、無用の長物になる。
開発方法のメインストリームはXP(エクストリームプログラミング)になってきている。1機能を実装とテストを反復しながら実装していくこの方法は、短期間でユーザーが本当に必要とするサービスをリリースできるというスピーディーな対応ができる。アメリカの大規模SNSサイト、フリッカーでは1日に10回以上も機能に変更を加えてリリースしているという。
要件定義→設計→実装→テスト→運用というプロセスを経る過程でそれぞれのセグメントに違う人員を配置している従来のやりかたはあまりに遅い!XPを採用する組織とウォーターフォールを採用する組織を比較するとゾウガメとウサギの競争を見ているような錯覚すら覚える。

提案型エンジニアになろう
経済はサプライサイドが生み出す提案型の製品やサービスによって成長する。技術者でない人に利用価値のあるwebサービスのアイディアを出してくれというのは、ガン患者の体力的な負担を減らす手術方法のアイディアを出してくれと弁護士に言うようなものだ。
結局は、専門的な技術を持った人が今ある技術を適用してよりよい提案をするのがもっとも効率的なんじゃないのかな。
例えば、事業者がweb上のダッシュボードからファイルを非同期にアップロードしてオークション・通常販売・継続課金・広告を掲載して無料配布などの販売方法を設定し、そのコンテンツはcometで実装されたリアルタイムオークションサイトに反映され、paypalのダイレクトペイメント用APIを用いた決済システムを使ってコンシューマーが決済し、その販売手数料として20~30%を差し引いた金額を事業者に支払う。膨れ上がるデータはhadoopとキー・バリューストア型のapache Cassandraを採用して安価なマシンをパラレルに追加するだけでスケールアウトするように実装されたファイルシステムで管理する。というようなアイディアが技術とは無縁の人から出てきたら逆に驚いてしまう。
成功したければ成功している人や企業から学ぶ(ビジネスモデルではなく考え方)のが一番の近道なのでgoogleやゴールドマンサックスのような組織体制を様々なメディアやネット上のリソースで調べた結果、とてもシンプルな共通点があった。ビジネスモデルを考えて起業できるような人間を採用し、一人のスーパープレイヤーではなくチームワークを重視する。
つまり次世代SEの理想像は”ビジネスモデルを考えて起業できるような人間”になることなんじゃないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿