2009年9月13日日曜日

金のにおいのする場所に金が流れる現実

金融危機の元凶といわれたウォール街ではすでに次なる金融商品を開発しているらしい。今度の原資産は生命保険をターゲットにしているみたいだね。
飽くなき金銭欲
少し調べてみると生命保険証券の仕組みはサブプライムローンと同じようなものみたいだね。

被保険者
保険に加入して投資銀行に保険契約書を売る
メリット:死ぬ前に満額の数割の金が手に入る
デメリット:満額は受け取れない

投資銀行
被保険者から保険証を買い取って複数の保険契約を混ぜて証券化し、投資家に販売する
メリット:多額のフィーを見込める
デメリット:なし

投資家
投資銀行から証券を購入する
メリット:被保険者の死亡時期が早ければ儲けが大きい
デメリット:被保険者が長生きすると損失になる

保険会社
保険を個人に販売する
メリット:なし
デメリット:支払い金額が増える

1年前に始まった金融危機で損失を被った年金基金や機関投資家などからすでに問い合わせが殺到しているらしい。金融業界に無関心な人は「今回の危機がきっかけでマネーゲームは収束するだろう」って考えてる人もいるようだけど認識が甘いと思う。

金に対する人間の欲求は尽きることがないし、当然のことながら一流大学を卒業した優秀な頭脳は高い報酬が得られる業界に流れてその国の経済を牽引していくから政府も過剰な締め付けはできない。ってことはまた近い将来金融業界を主軸にしたバブルとその崩壊はやってくるだろうね。それが環境関連のビジネスなのか、この生命保険証券なのかは分からないけど。

生命保険証券の一番の問題点は保険会社の支払い負担が増えるってことなんじゃないかな。保険って商品はもともと被保険者に対する支払いを一定人数以上行わないことを前提にして作られてる。

保険会社としては加入者が保険契約してることをわすれてたり受取人が申請してこないことも織り込んで商品を設計してるから、もし投資家みたいに必ず満額受け取るような人が増えたら保険会社の破綻にもつながる。保険会社もその負担を被保険者に転嫁するようになる。

たとえ保険証を投資銀行に販売する目的をもった被保険者が一時的に増えても、長期的にみれば保険会社にとって満額を支払う割合が増えるだけでメリットはないよね。

一定数以上の投資家が満額を受け取る⇒保険会社が破綻⇒その他大勢の投資家が損失を被る⇒損失補てんのために株式を売却⇒株式市場の暴落⇒金融危機⇒政府が保険会社か金融機関に資金を投入

みたいに似たようなシナリオも十分ありえるんじゃないかなぁ。

金になる商品は必ず売れる
Product Strategyを組むときに必ず考慮すべきだと思うのは「顧客が金を稼げる商品であるか」ということ。
理由はいたって単純明快で、金を増やすための投資には個人も法人も無関係に喜んで金を払うから。例えば以下のような状況のときに金を使うプライオリティが高い選択肢はどっちかなんて明白だよね。

状況:現在手元に1000万円がある
選択肢A:消耗品として最新の電気自動車を買う
選択肢B:1年で1500万円を稼ぐ見込みのある商品に投資をする

金を手に入れるために金を使うなんて精神の飢餓だなぁなんてたまに思ったりもするけどこれが世界の現実なんだから受け入れるしかないよね。

社会貢献って必須じゃないよね?
自身の存在意義を社会貢献に置くっていう意見を企業に限らず頻繁に聞くんだけど、目的にするんじゃなくて結果として貢献できたらいいってぐらいの気構えでも良いと思うんだ。

熱くなれる仕事で自身のプロフィットを追求するための手段として他者の利益になる製品やサービスを提供するっていうスパイラルが自由資本主義経済においては一番健全だと俺は思う。

「社会の役に立つ」って自己陶酔だけじゃ強いインセンティブにはつながらないし金がなければ自分が正しいと考えることも実現できないからね。それに「社会貢献を標榜したものがホントに貢献したためしはない」みたいなことをアダムスミスも国富論でいってるしね。

バブルも不況も貨幣経済システムがなくならない限り存在し続けるのであれば、株式なりデリバティブなりあらゆる手段を使って可能な限り儲けたほうがいいんじゃない。

0 件のコメント:

コメントを投稿